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司馬遼太郎『21世紀に生きる君たちへ』より(「小学校国語六年下」大阪書籍)

 さて、君たち自身のことである。

 君たちは、いつの時代でもそうであったように、自己を確立せねばならない。

――自分に厳しく、相手にはやさしく。

という自己を。

 そして、すなおでかしこい自己を。

 二十一世紀においては、特にそのことが重要である。

 二十一世紀にあっては、科学と技術がもっと発達するだろう。科学・技術が、こう水のように人間をのみこんでしまってはならない。川の水を正しく流すように、君たちのしっかりした自己が、科学と技術を支配し、よい方向に持っていってほしいのである。

 右において、私は「自己」ということをしきりに言った。自己といっても、自己中心におちいってはならない。

 人間は、助け合って生きているのである。

 私は、人という文字を見るとき、しばしば感動する。ななめの画がたがいに支え合って、構成されているのである。

 そのことでも分かるように、人間は、社会をつくって生きている。社会とは、支え合う仕組みということである。

 原始時代の社会は小さかった。家族を中心とした社会だった。それがしだいに大きな社会になり、今は、国家と世界という社会をつくり、たがいに助け合いながら生きているのである。

 自然物としての人間は、決して孤立して生きられるようにはつくられていない。

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投稿日:2026年02月26日