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メチャクチャに教えた方がいい

 一体、これからはどのような授業が求められるのだろうか。(略)

 ある程度明らかなのは、先ほども触れた通り、「どうも長期的な記憶は、様々な新鮮な体験の組みあわせによって起こるらしい」という点だ。

 ぶっちゃけて言えば、「メチャクチャに、子どもの興味の赴くままに、いろいろと教えた方がいい」という話になる。

 とこれでは乱暴な議論なので、現場の先生方には、私は以下のように説明している。

「教室で習う星座の名前より、キャンプ場でお父さんから習った星座の名前を、子どもたちはよく覚えているでしょう」

「教室で習う花の名前より、散歩の帰りにお母さんから習った花の名前を、子どもたちはよく覚えているでしょう」

 いま大事なことは、この「よく覚える」という点だ。「たくさん覚える」「早く覚える」という教育から、「よく覚える」という教育へ、教育の質を転換していかなければならない。

 キャンプ場では、たき火の残り香や、川のせせらぎの音、そして何よりお父さんの優しい笑顔と共に、子どもたちは星座の名前を記憶していく。体操選手が、天井や壁の角度と自分の筋肉の動きを同時に記憶していくように。

(平田オリザ『わかりあえないことから』講談社現代新書、pp. 69-70)

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投稿日:2026年03月28日